田畑智子

田畑智子(たばた・ともこ)女優。1980(昭和55)年12月26日京都府生まれの23歳。小学校6年のときにオーディションに応募し、93年映画「お引越し」のヒロインに抜擢されデビュー。数々の新人賞に輝く。00年NHK朝のテレビ小説「私の青空」の主演で全国区人気に。向田邦子ドラマの常連。今年は、NHK大河ドラマ「新選組!」で近藤勇の妻役を。舞台「夜叉ケ池」(東京・PARCO劇場の後、11月6日愛知厚生年金会館、同9−14日大阪のシアター・ドラマシティ)。映画は、公開中の「隠し剣 鬼の爪」(山田洋次監督)にも出演するなど幅広い活躍だ。

【本当に怖かった】
作家、梁石日氏の父親をモデルに在日朝鮮人一世の破天荒な生涯を追った小説『血と骨』が映画化され、6日公開される。凶暴極まりない主人公、金俊平がまさに主演のビートたけしに乗り移ったかの迫力。田畑は、娘の金花子役を気丈に演じながら、崔洋一監督から「カット!」の声がかかった途端、たじろいだ。「本当に殺されるかもしれない−たけしさんが、恐ろしくて涙が出て止まらなくなりました。自分でもびっくりするほど震えてました。怖く感じることができて良かったです」スタッフによると、たけしは、撮影に備え2カ月前から筋トレ、プロテインで肉体改造し、現場では、あいさつ以外の言葉を極力交さず、演技に没頭したという。家族に暴力をふるい、家が傾くほど暴れる。湯のみをバリバリ噛み砕く。ウジのわいた肉をむさぼり食う…。金俊平が醜く見えるほど、凛とした花子のシーンが観る者の一時の救いとなる。

「やろうと思えば、もっと泣きわめくこともできたんでしょうが、耐えて耐えて、きれいな顔のまま死んでいく。私はハナちゃんが汚く見えないように心がけました」小さめの声ながら、田畑は、しっかりした口調で話す。たけしの役も怖いが、崔監督ももっと怖かったのではないか。「厳しい方とうかがっていましたが、すごく優しくて、『お前はお前のままでいい』といわれました。デビュー作では、監督から名前も呼んでもらえませんでしたから、ちょっと成長したかな(笑い)」

【11年ぶりの映画】
血と骨」をロケ中のビートたけし、崔洋一監督、振り出しの映画「お引越し」を撮った故相米慎二監督は、育ての親と言っていい。「何もお芝居を知らなくて、タコとかバカとかいわれてました。なかなかOKが出なくて、家に帰りたくて泣きました。今思えば、何があっても耐えられるのは相米さんのおかげです。11年ぶりに映画に出るからには、恥じない仕事をしようと思いました」田畑は京都・祇園の老舗料亭に生まれた。幼いころから祖母に礼儀作法を教わったという。もともと芯はしっかりしているのだ。「とくに言葉遣いに厳しくて、古い京都弁を大切にするよう、しつけられました。だからでしょうか。私、今どきの若い子って苦手なんです」20代の女優の言葉とはとても思えない。

「ひとりで歩くのが好きで、休みの日に、下北沢あたりで人間ウオッチングするんですが、『マジ、ヤバイ』とか、聞こえてくると、何てしゃべり方しているの!って。私って今風じゃないんですよ〜」息苦しくなって、3日以上の休みがあると京都の実家に帰ることにしている。「ほっとしすぎて、必ず風邪を引いちゃうんです。結婚話ですか? 全然ないですよー。両親からは、『まだまだ働け』っていわれてます。自分が不器用で、他に向いている仕事があるんじゃないかと思っていた時期もありましたが、ようやくお芝居が楽しくなってきました。相米監督が生きていたら、『お前、やってるな』って言ってくれるかな」


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